「局所皮膚適用貼付剤の生物学的同等性評価に及ぼす影響因子」
森 大輔(バイオコム・システムズ),宮城孝満(就実大薬),引間知広(九工大院情工)
皮膚薬物動態学的試験(以下DPK試験)は,定常状態において角層内に存在する薬物量から局所皮膚適用製剤の生物学的同等性を評価する方法である.貼付剤の場合,テープストリッピングによる角層回収前に製剤除去によって角層が剥離することが危惧される.そこで角層剥離が生物学的同等性評価に及ぼす影響を理論的に評価した.
理論的アプローチとして,経皮吸収シミュレーションソフトウェアSKIN-CAD®(貼付剤膏体1層及び皮膚2層の拡散-分配モデル)の数値計算プログラムを使用して,製剤除去時の角層剥離率と角層内薬物量の相関性を解析した.ケトプロフェンテープ剤及びジクロフェナクテープ剤をモデル製剤として,製剤貼付時間や製剤除去時の角層剥離率が異なれば角層内薬物量に差が生じることを確認した.
本研究では,貼付剤のDPK試験(角層内薬物量の評価)において,化合物の皮膚透過性,貼付時間,貼付剤の粘着性等が因子となり,製剤除去時に製剤と共に剥離される角層の量が生物学的同等性評価に影響を及ぼすことが示唆された.